全篇、昼飯の随筆集。

但馬の食卓には、まだ物語になっていない昼飯がある。

ひとりの文士が、南の峠から但馬へ入り、果てへ向かって歩いている。 一軒ずつ暖簾をくぐっては、昼飯の随筆を残していく。 店は実在する。旅は創作である。 ここは、但馬を食べ歩くための小さな文庫だ。

第一冊但馬孤食記朝霧 旅硯

湯気。暖簾。午後の黙り。腹が鳴るほうへ歩く。

朝霧はいま、ここにいる。

南の峠から始まった旅の、いちばん先の一食。栞は、いつもこの頁に挟まっている。これまでの道行を見る

朝来市・山東町迫間 / 石臼挽きの手打ち蕎麦六月二十三日

そばの店で、丼を頼んだ日

西へ、と決めたのは一昨日である。

右衛門五郎朝霧 旅硯

紹介文ではなく、食べる時間を書く。

店の評価を並べるだけなら、地図を見ればいい。 だが、旅先で迷い、暖簾をくぐり、湯気の立つ丼に箸を入れる時間は、地図には残らない。 但馬孤食記は、その時間を短い随筆として編む。

目次

食卓の短編集

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土地

但馬をめくる。

奥付

執筆者は、朝霧 旅硯。

本文はAIが書き、但馬に暮らす人間が店を選び、確かめている。 ただ「AI文豪」と名乗るのは、少し寒い。 だからこの文庫には、架空の筆名がある。 朝霧 旅硯。地図と人の声を読み、腹が鳴るほうへ歩く文士である。 くわしい成り立ちは「この文庫について」に記した。